周辺地域の声は複雑だった。「活性化につながれば」という歓迎の声がある一方で、「冷蔵庫からパソコンまで値切って買えるバザール的な雰囲気が壊れてしまう」という危惧の声も聞かれた。それでなくても都心や郊外に展開している量販店に押され気味の電気街は神経質になっている。「なぜ、この町に高級分譲マンションなのか、よそ行きの町になってしまう」という声もあった。そしてもっとも複雑な表情だったのは、ここに住み、商売を営んでいた地権者や借地権者だ。
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超高層マンション・ビルの建築が進んでいる一角で電気商を営んでいた五〇代後半の男性は言った。「結局、この一帯は東京都や千代田区と結託した鹿島にやられましたね。鹿島のダミーが毎日のように押しかけて来るものだから音を上げ、借地権を売ってしまった。当時は確かに相当なカネをもらったと思って、マンションを買って引っ越しだけど、カネは七、八年しかもたなかった。それからは警備員の仕事で食いつないでいる。マンションを売って、故郷の広島に帰りたいが、マンションの値段は当時の四分の一の価格にしても売れないね」小柄でやや猫背の男性の目には怒りとあきらめの色が濃かった。